埼玉県川口市の相談しやすい税理士、大内です。
今回は、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例について、考えてみたいと思います。
取得費加算の特例とは
取得費加算の特例とは、相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合に、一定の要件を満たせば、譲渡所得の計算において、相続税額の一部を取得費に加算し、譲渡所得に課される税額を減らすことができる制度です。
◎譲渡所得の計算は、下記のようになっております。
譲渡収入ー(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得
※この特例の適用により、譲渡収入から引ける金額が増え、譲渡所得が減少することになります。
◎この特例を適用するためには、下記の要件があります。
①相続や遺贈により財産を取得した者であること。
②その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
③その財産を、相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡していること。
取得費に加算する相続税額は
取得費に加算する相続税額は、下記のように計算します。
ただし、この特例を適用せずに計算した譲渡益の金額が限度となります。
譲渡人の相続税額×譲渡した資産の相続税評価額÷譲渡人の相続税の課税価格(債務控除前)
=取得費に加算する相続税額
また、この特例は「空き家の3,000万円の特別控除の特例」と重複して適用することができませんので、有利不利を検討のうえ、選択適用する必要があります。