埼玉県川口市の相談しやすい税理士、大内です。
今回は、相続税の連帯納付義務について、考えてみたいと思います。
「相続税の連帯納付義務」とは
相続税は、相続財産の総額に対して計算されるものであり、それぞれの相続人の方が納める相続税は、あくまでも相続税の総額を取得された財産の比で按分されてものにすぎません。したがって、相続税の総額が完納されるまでは、相続人全員で、連帯して納付する義務があります。これが、「相続税の連帯納付義務」です。
つまり、相続人のうち、相続税を納付しない人がいる場合、ほかの相続人がかわりに納付しなければならないということですが、連帯納付義務により納める税額はその方が相続した遺産額から納付済の相続税を差し引いた残額を限度とします。
ただし、下記の場合には、相続税の連帯納付義務を負うことはありません。
①相続人本人が納税猶予の適用を受けた場合
②相続人本人が延納の許可を受けた場合
③申告期限から5年が経過し、時効となった場合
連帯納付義務の流れ
相続税の申告・納付期限は、相続開始から10か月以内ですが、この期限までに相続税が完納されなければ、滞納している相続人に督促状が届きます。
督促状が届いてから1か月経過しても完納されない場合に、ほかの相続人(連帯納付義務者)に「完納されていない旨のお知らせ」が届きます。
その後、なお完納されない場合には、連帯納付義務者に納付通知書が届き、連帯納付義務が確定しますので、納付通知書に記載された納期限までに納めなければなりません。
最後に
このように、ご自分は相続税をきちんと期限までに納付していても、ほかの相続人の方が何らかの事情で納付できない場合には、かわりに納付しなければならないという状況が発生してしまいます。この連帯納付義務を怠り、納付されないでいると、最悪の場合は滞納者の方ではなく、連帯納付義務者の方の財産が差し押さえられる可能性があります。そのため、やむなく納付通知書が届いてしまった場合には、早急に対応されることをお勧めいたします。