埼玉県川口市の相談しやすい税理士、大内です。
今回は、成年後見制度について、考えてみたいと思います。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症などにより、判断能力が不十分となった方を保護し、支援する制度ですが、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの制度があります。
「法定後見制度」は、本人の判断能力が不十分となった後に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が支援を行う制度です。
「任意後見制度」は、本人の判断能力があるうちに、あらかじめ任意後見人となる方や委任する事務内容を決めておき、判断能力が不十分となった後に任意後見人が委任された事務を本人に代わって行う制度です。
今回は、このうち法定後見制度について、相続との関連を考えてみたいと思います。法定後見制度には、認知症等の程度に応じて、「補助」「保佐」「後見」の3つの種類がありますが、「補助」「保佐」「後見」の順に症状が重くなります。
相続人本人が認知症等により、判断能力が不十分となった場合には、成年後見人等を選任し、遺産分割協議などを代理で行ってもらうことになります。
その場合に一番、症状の重い「後見」に該当する方は「成年被後見人」となります。
成年被後見人は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」として、国内に住所のある法定相続人であれば、相続税の計算において、障害者控除(特別障害者控除)の適用を受けることができます。
この場合、その相続人本人の相続税額から控除できる金額は下記の通りです。
・満85歳になるまでの年数(1年未満は切り上げ)×20万円
また、障害者控除額が、その本人の相続税額より大きく、控除額の全額を引き切れない場合は、その引き切れない金額をその本人の扶養義務者の相続税額から引くことができます。
なお、今回の相続以前の相続でも障害者控除を受けているときは、控除額の制限を受けることがあります。
最後に
このように、相続税の障害者控除の額は、相続開始時のご年齢によっては、かなり大きな金額となります。適用できる際には、控除もれのないように注意する必要があります。